資産運用

高配当なミクシィの業績や財務状況はどうなっているの?

最近ではモンスターストライクが有名なミクシィですが、その配当利回りは4%前後(2022年現在)です。その後のヒット作がないミクシィの業績や財務状況がどうなっているのか確認しました。

この記事でわかる事

  • ミクシィの売上と純利益推移
  • ミクシィの変遷(あしあと)
  • ミクシィの配当推移
  • ミクシィの強みと弱み

※内容は私なりに調べたものであり事実と違うこともあります。株の取引はご自身の判断でお願いします。

ミクシィのあしあと

ミクシィは2022年に東証1部市場からプライム市場に移行しています。

ミクシィは1997年に求人情報サイト「Find Job!」の運営を開始し、
2004年に現在の社名でもあるSNS「mixi」の運営を開始しています。2006年には
『イー・マーキュリー』から現在の企業名である『ミクシィ』に社名変更を行い
同年にマザーズに上場を果たし、2020年に東証1部へ市場変更しています。

「モンスターストライク」を提供した2013年以降は目立った話題になるような事業活動はありませんでしたが、家族動画共有アプリ「家族アルバムみてね」の提供や、プロスポーツチームの子会社化など、次なる収益を産み出す事業への再編を行っていました。

配当金は2010年から出しており、2015年からはゲームアプリモンストのヒットを受け収益が上がったことから、配当金を大幅に伸ばしています。

Kabutanホームページより

株価は2022年8月時点で2300円前後で推移し、過去最高株価は2017年に記録しました。その頃に配当金も147円と最高を記録しています。その後、株価は下降を続けコロナショック後反転したものの、現在は横ばい傾向となっています。

ミクシィの業績推移

ミクシィの売上と純利益の関係を確認していきます。ミクシィはソフトウェアを主とした企業なので大きな投資を必要としないので、利益を生み出しやすい環境です。ですが、売上の下降が純利益に与える影響は大きく、好調時と不調時の差が大きくでる傾向があります。

売上と純利益

2016年から売り上げが急増しています。これはゲームアプリ「モンスターストライク」(※以下モンストと略します)のヒットによる影響です。2018年までは順調にヒットしていましたが、2019年には陰りが見え始めて2020年以降は売上をピーク時の半分近くに売上を落としました。

純利益を見るとその状況はさらに深刻で、2022年の純利益はピーク時の6割近く減少しています。この辺りはIT企業の特徴がでています。

2023年の業績予想は売上は横ばい純利益は半減する予定で厳しい内容となっています。

セグメント別利益

棒グラフの緑が「モンスターストライク」を提供するデジタルエンターテインメント事業で赤がライフスタイル事業、灰色が2021年に新設されたスポーツ事業となっています。

セグメント別利益の推移を2019年から見ると、ライフスタイル事業とスポーツ事業は通年赤字です。ミクシィ社の利益は全てデジタルエンターテインメント事業が稼いでいることがわかります。

セグメント毎の事業内容

ミクシィには3つの事業がありますが、どれもがITに絡む事業となっています。

デジタルエンターテインメント

デジタルエンターテインメント事業ではモンスターストライクシリーズ以外にもコトダマンというゲームアプリを提供しています。提供するゲームアプリはモンストシリーズが多数を占めますが大ヒットしているわけではありません。

ゲーム以外ではオリジナルアニメも手がけています。

ライフスタイル事業

SNSサイトのmixiを筆頭に直近で力を入れている事業としては、写真・動画共有アプリの「家族アルバムみてね」があります。

その他には、美容関連のサロンなどにお得に行けるビューティアプリの『minimo』や求人情報サイトの『FINDJOB』などを提供しています。

スポーツ事業

主に競輪に関わるサービスをはじめとして広く手がけており、競輪・PIST6・オートレースのネット投票を基本無料で楽しめるTIPSTARというサービスも行っています。

その他ではプロバスケットチームやサッカーチームのスポンサーやアスリート支援も行っており、2020東京オリンピック男子ストリートで金メダルを獲った、堀米雄斗選手の支援も行っています。

ミクシィでは紹介した3つの事業を展開していますが、利益を創出しているデジタルエンタメ事業以外のライフスタイル、スポーツ事業が今後利益を伸ばしていけるかどうかが復活のカギになりそうです。

ミクシィの配当政策

ミクシィの配当政策は

  • 配当性向20%
  • 株主資本配当率5%

以上2点を目安に配当を行うことを基本方針としているとホームページ記載があります。

どちらかの方針に基づいて配当金額は設定するかは年度によって異なりますが、2019年以降は株主資本配当率(DOE)を基準として配当されています。

株主資本配当率(DOE)とは?

株主資本配当率(DOE)とは?

株主資本配当率(DOE)は聞き馴染みがないですが、年間配当総額を株主資本で割ったもの

2022年の配当をもとに計算をすると配当支払い額が81億円で株主資本は1823億円だったので株主資本配当率は4.4%となります。

配当性向で見ると78.7%で目安の20%を大きく上回っており、株主資本配当率(DOE)を基準として配当が支払われたことがわかります。

株主資本を構成する要素は主に

  • 資本金
  • 資本余剰金
  • 利益剰余金
  • 自己株式

の4点があり、余程のことがない限り急激に減ることはありません。

今後、今のような利益が続くとしても配当性向ではなく、株主資本配当率(DOE)をもとに配当金が設定される可能性が高く配当金はしばらく維持される見込みが高いと考えられます。

ミクシィの強み

ミクシィの業績と事業内容を踏まえてMIXI社の強みについて確認していきます。ミクシィ社の強みは健全な財務基盤と高い配当利回りにあります。

健全な財務基盤

財務の内訳を確認すると高い自己資本比率である事が確認できます。

自己資本比率とは総資本のうち純資産の占める割合のことで、業種にもよりますが一般に50%以上であれば倒産しづらいとされています。

ミクシィ社の2016年からの自己資本比率推移を確認すると73.6%から始まり2022年では84%とかなり高い自己資本比率となっています。

自己資本比率
2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022
73.6% 84.9% 88.4% 92.5% 88.8% 83.2% 84%

そして高い自己資本比率を裏付けるように有利子負債比率が低い財務内容となっています。2016年からの推移を見ると5%以下で推移しており借金の少ない企業です。

有利子負債比率
2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022
0.38% 2.01% 4.74% 4.44%

ミクシィ社は健全な財務基盤が強みで、高い自己資本比率に低い有利子負債比率によりキャッシュリッチな会社であるといえます。直近の倒産リスクはかなり低くこれは投資する上で大きな強みになります。

高い配当利回り

2015年からの配当利回りを見ると2016年17年の配当金の金額が147円と1番高かったですがその頃は株価も上昇していたので利回りとしては3%前後となっています。直近では配当金110円で利回りは4%前後です。

ただし高い配当利回りは株価によるモノもあるので手放しで喜べない点もあります。これについてはMIXI社の弱みの点で触れていきます。

ミクシィの弱み

ミクシィ社の弱みは事業の将来性にあります。

将来性

ミクシィの強みの説明では配当利回りが高いことを強みとしてあげましたがそれは株価が低迷していることの裏返しでもあります。

株価が低迷している理由としては

  • モンストに続くヒット作がないこと
  • エンタメ事業以外は稼げる事業に育っていないこと

が考えられそれを象徴するように2016年をピークに純利益は大幅に下降しています。

配当性向は2016年から徐々に高くなってきており、ここ数年の決算では配当性向が70%超えることも珍しくない状態となっています。

配当性向
2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022
20% 20.1% 22.7% 34.3% 77% 52.8% 78.7%

 

キャッシュリッチな企業ですので利益の7割を配当に回しても新事業への投資は問題ないですが、稼げる事業になるのかわからないというのが1番の弱みで、株主からも新事業成功への期待が薄いまたは稼げる事業になるのかわからないとみられている可能性が高いです。

MIXI決算説明会資料より抜粋

そのあたりはMIXI社も感じているようで、2022年は種まき期間で2024年には収益の最大化を目指すと2022年の決算説明会で説明しています。

今後の方針

各事業の今後の方針について簡単に確認すると

スポーツ事業
  • 競輪のオンライン車券販売サイトのリニューアル
  • 千葉ジェッツ、FC東京などのスポーツコンテンツの提供と、コンテンツを楽しむプラットフォームを併せ持つことで、シナジーを生み出し事業拡大を目指す。
  • 「DAZN Jリーグモーメンツ」の更なるコンテンツの追加
ライフスタイル事業
  • みまもりGPSやコールドクターの追加により、「家族」の安心・安全を支えるサービスにブランドを拡張していく。
  • 『家族アルバム みてね』を中心に事業提携を行い経済圏の拡大を狙う。
デジタルエンターテインメント事業
  • モンストIPを活用した新規タイトル「モンストシリーズ」の開発
  • イベントやマーチャンダイジング、動画等のメディアミックス展開によって、それぞれのユーザーが回遊する経済圏を構築し拡大を図る。

ミクシィのまとめ

ミクシィはキャッシュリッチな企業で倒産リスクは低い企業です。高い配当利回りではあるものの、それは株価低下によるものです。

業績は下降傾向でモンスターストライクに次ぐ収益の柱が早急に求められます。

事業の多角化を進めるためにスポーツ事業を立ち上げるなどの将来に向けた施策を打っているものの、そのパンチ力は弱く収益の目処がたつのは2024年を目標としているのでここ数年は厳しい状況が続くと考えられます

とはいえゲームアプリは一発ヒット作が出ると収益が大幅に改善されるのでゲームアプリの新たなヒットが出る事に期待するか、新事業の芽が出て収益が改善する事に期待したいですね。